相続手続きとは
被相続人(亡くなった方)の財産を相続人に配分するために必要な手続きです。
事前に遺言書を作成しておくことでスムーズに相続できるだけでなく、相続に伴うトラブルを未然に防ぐことができます。
相続手続きの手順
1. 相続の開始
被相続人の死亡が確認されると相続手続きの開始が必要となります。
2. 相続開始後7日以内に行う事
(1)被相続人死亡届の提出
(2)死体火葬許可申請書の提出
3. 調査・確認と作成する書類について
(1)遺言書があるかどうかの確認
被相続人が公正証書遺言を作成した場合、公証役場に保管されている問い合わせを行い、遺言書を確認します。
被相続人が自筆で作成した自筆証書遺言の場合、自宅や預けている可能性がある外部に確認を行います。
(2)相続人の確定
戸籍・除籍などの収集を行い、相続人を確定します。
被相続人を中心としてどんな家柄なのかを示す相続関係説明図を作成します。
(3)相続財産・負債の調査
銀行預金や不動産、株式など、プラスとなる財産とマイナスとなる負債をどれぐらい所有しているかを調べます。
その後、被相続人が相続人に相続できる財産をどれぐらい所有しているかを一覧にした財産目録を作成します。
(4)遺産分割協議書の作成(相続人全員による協議)
被相続人が残した財産を相続人にどのようにして分け合うかを示す書類です。
特に期限はありませんが、親族が集まる四十九日前後から相続開始10カ月以内(相続税の申告期限)までに行われるのが一般的です。
4. 相続開始後3カ月以内に行う事
下記いずれかの手続きを行います。
相続放棄
被相続人の財産すべてを放棄する手続きです。
プラスの財産とマイナスの財産の全てを放棄したい場合はこちらの手続きを行います。
単純承認
プラスの財産とマイナスの財産の全てを無条件に相続する手続きです。
相続を受ける方本人が相続人であると認知した日から3カ月以内に何も手続きを行わない場合、自動的に単純承認となります。
限定承認
相続によって得た財産の範囲内で被相続人の債務を弁済する手続きです。
相続する債務よりもプラスとなる財産が多くなる可能性や、実家など確実に取得したい財産がある場合にはこちらの手続きを行います。
5. 相続開始後10カ月以内に行う事
相続税の申告・納付
被相続人が亡くなってから10カ月以内に相続税を申告し、納付する必要があります。
期限を過ぎてしまうと無申告加算税や延滞税などの追尾課税を請求されます。
相続の種類
単純承認
プラスの財産もマイナスの財産も全て無条件に引き継ぐ方法です。プラスの財産が多い場合に推奨されます。
相続放棄
遺産のすべてを放棄し、一切の財産を相続しない方法です。マイナスの財産が多い場合に推奨され、相続放棄は相続開始から3カ月以内に家庭裁判所に申述する必要があります。
限定承認
遺産の中に財産(プラス)と負債(マイナス)がある際、プラスの限度に応じてマイナスの財産も相続し、それ以上のマイナス財産は相続しない方法です。プラスの財産とマイナスの財産のどちらが多いか不明の場合に推奨されます。手続きは3カ月以内に行い、相続人全員が一致する必要があります。
相続財産の対象
相続の対象となる財産は土地・建物や預貯金などのプラスの財産だけではなく、
亡くなった方の借金もマイナスの財産となり、相続の対象となります。
プラスの財産
・現金 ・預貯金
・不動産(土地・建物)
・国債・株券
・自動車
・貴金属 など
マイナスの財産
・借金
・住宅ローン
・地代、家賃の未払い分
・未払いの税金 など
財産とはならないもの
・お墓
・仏壇 など
遺言書について
自分の死後に身内が争わず、相続財産の分配を決めておきたい場合には遺言書が非常に有効な手段となります。
スムーズな財産分与や自分の思い通りの財産分与を行うために遺言書の作成をおすすめします。
遺言作成をおすすめするケース
- 再婚し、先妻の子と後妻がいる場合
- 内縁の妻がいる
- 夫婦の間に子どもがいない
- 相続人がまったくいない
- 個人で事業を経営していたり、農業に従事していて相続人の一人が承継してくれている
- 子や両親はいない。日頃疎遠な兄弟姉妹に財産を譲りたくなく、配偶者にすべての財産を譲りたい
遺言書の種類
公正証書遺言 | 自筆証書遺言 | |
---|---|---|
解説 | ・公証役場にて2名の証人の前で遺言内容を述べ、公証人が遺言書を作成する | ・遺言者が全文、日付、氏名を自筆で書いて、印を押せば完成 ・押印は認印でも有効 |
メリット | ・公文書として強力な効力をもつ ・検認手続が不要
・死後すぐに遺言の内容を実行できる ・公正証書の原本は公証役場に保管されるため、紛失・変造の心配がない |
・手軽でいつでもどこでも書ける ・費用がかからない
・誰にも知られずに作成できる |
デメリット | ・承認が必要(成年者で、相続人はなれない) ・費用がかかる |
・ワープロ、代筆は無効 ・不完全だと遺言者の意図したとおりの効果が実現できないこともある ・家庭裁判所で「検認手続き」が必要になる |
遺言の作成について
その他にも子どもの認知など、遺言で残しておけることはたくさんありますが、決まった様式があります。
もしもの時に効力があるものでなくてはいけませんのでお気軽にご相談ください。